2017年7月 6日

コトバえんぴつと10篇の詩

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私が(勝手に)好きな一行を文豪からお借りして鉛筆にプリントした

オルジナル鉛筆「コトバえんぴつ」を久しぶりに作りました。

最近は5〜6種類をちょこちょこ作っていましたが

今回は今まで作ったもの全て10種類揃いました。※一部カラーを変えています。

より一行を楽しんで頂けるように、プリントした詩(長いものは一部)を添えて書きました。

少し長くなりますが、お付き合い頂けると嬉しいです。

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こころをばなににたとえん  こころはあぢさゐのはな

ももいろに咲く日はあれど 

うすむらさきの思ひ出ばかりはせんなくて

...

「こころ 」 萩原朔太郎

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いくつかの季節はすぎ

もう憂鬱の櫻も白つぽく腐れてしまつた

馬車はごろごろと遠くをはしり

海も 田舎も ひっそりとした空氣の中に眠つてゐる

なんといふ怠惰な日だろう

運命はあとからあとからかげつてゆき

淋しい病鬱は柳の葉かげにけむつてゐる

もう暦もない 記憶もない

わたしは燕のやうに巣立ちをし

さうしてふしぎな風景のはてを翔つてゆかう

むかしの戀よ 愛する猫よ

わたしはひとつの歌を知つてる

さうして遠い海草の焚けてる空から

遠い海草の焚けてる空から

爛れるやうな接吻(きす)を投げよう

ああ   このかなしい情熱の外 どんな言葉も知りはしない

...

「怠惰の暦」萩原朔太郎

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...

ひとかけづつきれいにひかりながら

そらから雪はしずんでくる

電(でん)しんばしらの影の藍青(インディゴ)

ぎらぎらの丘の照りかへし

...

「丘の眩惑」宮沢賢治

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「そうだ。今晩は銀河のお祭りだねえ

「うん。ぼく牛乳をとりながら見てくるよ」

「ああ行っておいで。川へは入らないでね」

「ああぼく岸から見るだけなんだ。一時間で行ってくるよ」

「もっと遊んでおいで。カムパネルラさんと一緒なら心配はないから」

「ああきっと一緒だよ。お母さん、窓をしめて置こうか」

「ああ、どうか。もう涼しいからね」

...

「銀河鉄道の夜」宮沢賢治

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ガラスの向こうで

ガラスの向こうで

朝が小鳥とダンスしてます

お天気のよい青い空

「ガラスの向こうで」立原道造

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郵便局で 日が暮れる

果物屋の店で 灯がともる

風が時間を知らせて歩く 方々に

「風が、、、、」立原道造

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約束もせず

知らせもなしに

鐘が鳴る

約束もせず

知らせもなしに

涙が出る

「くれがた」竹久夢二

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電柱と

尖った屋根と

灰色の家

新しいむぎわら帽子と

石の上に座る乞食

たそがれどきの

赤い火事

「小石川の風景詩」   尾形亀之助

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ーツキヨノバンニチョウチョウガトンボニナッタ
ーえ?
ートンボノハナカンダカイ
ーなんだって?
ーハナカミデサカナヲツッタカイ
ーなに なんだって?
ーワカラナイノガネウチダトサ

「A PUZZLE 」稲垣足穂

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朝、鈍(にぶ)い日が照ってて 風がある

千の天使が バスケットボールする

私は目をつむる、かなしい酔いだ

もう不用になったストーヴが 白っぽく銹(さ)びている

朝、鈍(にぶ)い日が照ってて 風がある

千の天使が バスケットボールする

「宿酔」中原中也

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うーん、私ならここを切り取るなぁとか、ありますよね、きっと。

そんなもどかしさも含めつつ 笑、楽しんで頂けると嬉しいです。

尚今回の鉛筆の硬度は全て2Bとなります。

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