コトバえんぴつ

先日実家に帰った際、思い立って最寄り駅の大型書店に立ち寄ってみました。店内は適度な人数で賑わっていて、私もすぐその場に馴染み、棚を物色し始めました。

初めての書店を覗くと、様々な人が自由気ままに(そして静かに)その場過ごす事が出来る、書店自体の心地良さというものを改めて感じます。どこでも緊張してしまうたちなので、文房具屋さん然り、そういう場所が好きなんですね。

今日は文豪や詩人の言葉をプリントしたオリジナル商品「コトバえんぴつ」

に、久しぶりの新しい仲間が増えたのでご紹介させて頂きます。

まずはこちら、尾形亀之助の「秋」という詩から。

ー円い山の上に旗が立っている

空はよく晴れわたって

子供等の歌が聞こえてくる

紅葉を折って帰る人は

乾いた路を歩いてくる

秋は 綺麗にみがいたガラスの中ですー

尾形亀之助は明治生まれの詩人で、以前お客さまから「きっと好きだよ」と教えて頂き読み始めました。

今読んでも全く古さを感じない事に驚くと同時に、使い古された言葉になりますが「見つけてしまった」そんな感覚を久しぶりに味わった詩人です。

「暗がりを手探りで歩いていることをおもうとさみしい」

七月堂さんの「カステーラのような明るい夜」

夏葉社さんの「美しい街」どちらも素晴らしいので、気になる方がいらしたらぜひ読んでみて下さい。

コトバえんぴつ 尾形亀之助

少しずつ増えたコトバえんぴつも、現在は全16種類。

宮沢賢治、萩原朔太郎、中原中也、立原道造、竹久夢二、尾形亀之助、

鉛筆に言葉が書いてあるの、ちょっと楽しいですよ○

コトバえんぴつ コンプリートセット

そして今回はいつかいつかと思い続けて早数年、(私が)待望の初の海外版のコトバえんぴつも作りました。

愛読している児童文学から、と考えていますが、小説の一節を抜粋するのは大変難しく、でも今後必ず作りたいと思っています。

海外の詩はあまり読んでいないのですが、今回はアメリカ、ニューイングランドの詩人、エミリー・ディキンソンを選びました。

馴染みのない方も多いかと思いますが、アメリカでは大変人気で、奇跡の詩人とまで言われるほど。

ざっと全文を読んで頂きたいと書いてみました。

「詩人はー」

※エミリー・ディキンソンの詩はタイトルがないため、数字がふってあります。

詩人はランプに火を灯すだけー

みずからはー消えていくー

詩人は芯をかき立てるー

もし生命の光が

太陽さながら、そこに宿るならー

それぞれの時代はレンズとなって

押しひろげます

円周をー

「小鳥が道を、、、」

小鳥が道をやって来たー

わたしが見てるのも知らないでー

ミミズを半分に噛み切って

食べちゃった、生のまま

それから露をひとすすり

手近の草に口を寄せー

それから塀の方に横っとびした

甲虫を通してやるためー

いそがしい目で見まわした

きょろきょろと四方八方ー

おびえたガラス玉のような目だったー

ビロードの頭がぴくっと動いた

危険にさらわれた者のように、用心深くー

わたしがパン屑をさし出すと

おもむろに羽根をひろげ

そっと家路に漕ぎ出したー

継ぎ目も見えぬしろがねの海を、

かき分けるオールよりもそっとー

正午の土手から飛び立って、

音もたてずに泳ぐ、蝶よりもそっと。

※岩波文庫 対訳ディキンソン詩集 亀井俊介編

「予感は芝生のうえに、、」

予感はー芝生のうえにーながくのびた影

日の傾くしるしー

ハッとした草にお知らせ

暗闇がーまもなく通りますー

今回は、敢えて強い直接的なものではなく、抽象的な言葉を選びました。

プラム、ピーチ、オリーブの抑えめな色合いもエミリー・ディキンソンの言葉に似合うと、とても気に入ってます。

大切な詩を使わせて頂くのは、おこがましいにも程があるとも思いますが、小さなお子様や学生さんがなんとなく目にしたりする事で、何かの新しい入り口になって貰える事もあるのではないかと。。

自分が欲しいのはもちろんのことですが 笑。

本好きな方や本に添えてギフトなどにもぜひぜひ○

コトバえんぴつ エミリー・ディキンソン